大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 平成8年(ワ)2768号 判決

大阪市中央区道修町二丁目一番五号

原告

小野薬品工業株式会社

右代表者代表取締役

上野利雄

右訴訟代理人弁護士

高坂敬三

同右

夏住要一郎

同右

鳥山半六

同右

岩本安昭

同右

阿多博文

同右

田辺陽一

名古屋市西区児玉一丁目五番一七号

被告

マルコ製薬株式会社

右代表者代表取締役

小島茂雄

名古屋市東区葵三丁目二四番二号

被告

大洋薬品工業株式会社

右代表者代表取締役

新谷重樹

名古屋市千種区内山三丁目三二番二号

被告

堀田薬品合成株式会社

右代表者代表取締役

堀田和正

被告ら訴訟代理人弁護士

安田有三

同右

小南明也

被告ら輔佐人弁理士

長沼要

主文

一  被告らは、原告に対し、それぞれ、金二万三六三一円を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを六分し、その一を被告マルコ製薬株式会社の負担とし、その一を被告大洋薬品工業株式会社の負担とし、その一を被告堀田薬品合成株式会社の負担とし、その余を原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告マルコ製薬株式会社は、平成一〇年七月二一日が経過するまで、別紙イ号物件目録記載の医薬品を販売してはならない。

二  被告大洋薬品工業株式会社は、平成一〇年七月二一日が経過するまで、別紙ロ号物件目録記載の医薬品を販売してはならない。

三  被告堀田薬品合成株式会社は、平成一〇年七月二一日が経過するまで、別紙ハ号物件目録記載の医薬品を販売してはならない。

四  被告マルコ製薬株式会社は、原告に対し、金一二四二万五六三一円を支払え。

五  被告大洋薬品工業株式会社は、原告に対し、金三八〇万七八三一円を支払え。

六  被告堀田薬品工業株式会社は、原告に対し、金二五八万三五三一円を支払え。

第二  事案の概要

本件は、存続期間の満了した医薬品に関する特許権を有していた原告が、特許発明の対象である薬効成分を含み特許発明の対象である用途に用いられる医薬品について薬事法上の製造承認を得るために、特許権存続期間中に試験行為をなした被告らに対し、右試験のための医薬品の製造・使用行為は原告の特許権を侵害する行為であるとして、特許権存続期間満了後に被告らが医薬品を販売することの差止めと、右試験による損害の賠償を求めた事案である。

第三  争いのない事実等

一  当事者

原告は、医薬品の製造販売を業とする株式会社であり、被告らは同じく医薬品の製造販売を業とする株式会社である。

二  原告の特許権

原告は、次の特許権(以下「本件特許権」という。)を有していた。

1  発明の名称 グアニジノ安息香酸誘導体および該グアニジノ安息香酸誘導体を含有する抗プラスミン剤と膵臓疾患治療剤

2  特許出願日 昭和五一年一月二一日

3  出願番号 昭五一-五〇六二

4  出願公開日 昭和五二年七月二七日

5  公開番号 昭五二年-八九六四〇

6  出願公告日 昭和五七年三月二五日

7  公告番号 昭五七-一四六七〇

8  特許登録日 昭和五七年一一月一二日

9  登録番号 特許第一一二二七〇八号

10  特許請求の範囲 別紙特許請求の範囲記載のとおり

なお、本件特許権は、平成八年一月二一日の経過をもって、その存続期間が満了している。

三  原告の医薬品販売

別紙特許請求の範囲記載第1項及び第6項の発明は、いわゆる物質発明であり、別紙特許請求の範囲記載第10項及び15項の発明は、右物質発明の用途を抗プラスミン剤とするいわゆる用途発明であり、別紙特許請求の範囲記載第19項及び第24項の発明は、右物質発明の用途を膵臓疾患治療剤とするいわゆる用途発明である(以下「本件特許発明」という。)。

そして、本件特許発明の一般式に関して、別紙物質目録記載のとおりの式で示す化合物は、一般名をメシル酸カモスタットといい、原告は、昭和六〇年一月三一日、メシル酸カモスタットを含有する医薬品(商品名フオイパン錠、以下「原告製剤」という。)の製造承認を取得し、現在に至るまでその販売をしている。

四  被告らの薬事法に基づく製造承認申請行為等

1(一)  被告マルコ製薬株式会社は、平成八年二月二六日に、別紙イ号物件目録記載の製剤につき、薬事法一四条の製造承認を取得し、現在、その製造・販売をしている。

(二)  被告大洋薬品工業株式会社は、平成八年三月一四日に、別紙ロ号物件目録記載の製剤につき、薬事法一四条の製造承認を取得し、現在、その製造・販売をしている。

(三)  被告堀田薬品合成株式会社は、平成八年二月二六日に、別紙ハ号物件目録記載の製剤につき、薬事法一四条の製造承認を取得し、現在、その製造・販売をしている。

(なお、被告らが製造・販売している製剤を区別しないときには、以下単に「被告ら製剤」という。)

2  被告ら製剤は、いわゆる医療用の後発医薬品に属するものであり、被告らが行った薬事法一四条の製造承認申請には、左に掲げる資料を添付することが要求されている(薬事法施行規則第一八条の三)。

(一) 物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料のうち規格及び試験方法に関する資料

(二) 安定性に関する資料のうち加速試験に関する資料

(三) 吸収、分布、代謝及び排泄に関する資料のうち生物学的同等性に関する資料

(四) 当該有効成分の毒性、薬理作用、吸収分布、代謝、排泄及び、臨床試験等に関する文献等のリスト及びその内容、概要並びに評価結果

3  被告らは、本件特許権の存続期間中に、各自、本件特許発明の対象であるメシル酸カモスタットを含有する被告ら製剤を一三六六錠(一錠あたり一〇〇ミリグラムとする。)製造し、それらを使用することにより、右製造承認申請に必要な試験(規格及び試験方法等に関する試験、加速試験及び生物学的同等性に関する試験)を行った(以下「本件被告ら行為」という。)。

なお、加速試験に関しては、六か月以上の試験期間が要求されており、また現在、医薬品の製造承認の標準的事務処理期間は、医療用の後発医薬品に関しては、都道府県知事が承認申請を受理した日から二年間を要しているので(甲六)、後発医薬品の場合、試験に着手して製造承認を取得するまでに少なくとも二年六か月を要する。

また、本件被告ら行為当時の原告製剤の薬価は金一七三円であった。

第四  争点

一  特許権の存続期間中に後発医薬品の製造承認申請のために行われる試験は、「業としての実施」(特許法(以下「法」という。)六八条本文)にあたるか。

二  特許権の存続期間中に後発医薬品の製造承認申請のために行われる試験は、「試験又は研究のためにする特許発明の実施」(法六九条一項)にあたるか。

三  特許権の存続期間中に後発医薬品の製造承認申請のために行われる試験は、実質的違法性を欠くといえるか。

四  特許権を有していた者は、特許権の期間満了後も、特許権の存続期間中に特許権を侵害した者に対し、特許権の存続期間中であれば特許権侵害にあたるような行為の差止めを求めることができるか。

五  損害の有無及びその額

第五  争点に対する当事者の主張

一  争点一について

(原告の主張)

1 被告らが行ったような、後発医薬品の製造承認を得ることを目的とする被告ら製剤の製造、それを用いた試験は、特許発明の業としての実施そのものであり、原告の特許権を害するものである。

なお、被告らの主張によれば、特許権の存続期間中に市場に参入しさえしなければ、特許発明を業として実施することが許されるということになるが、例えば、特許権の存続期間満了後に販売することを目的として特許権の存続期間中に大量に製造するというような行為が特許権侵害にあたることは明白であるから、被告らの主張は失当である。また、本件のように後発品の製造承認を得ることを目的として特許発明の対象である物を試作し、規格試験、加速試験、生物学同等性試験などを実施することは、通常実施権がなければなしえない行為であるから、特許発明の実施そのものであり、「事業の準備」(法平成六年改正法附則五条二項)にあたらないことは明白である。さらに、法六七条二項の「特許発明の実施」とは、それについて「政令で定める処分」を受けることが必要であるような「実施」(医薬品の場合、薬事法による製造承認を必要とする製造販売行為を指す)と読むべきものであり、法六八条一項で特許権者に独占されるべき「特許発明の実施」と同一の意味を持つものとは、到底解されない。即ち、本件被告ら行為は、法六七条二項の「特許発明の実施」にはあたらないが、法六八条一項の「特許発明の実施」にはあたるのである。

(被告らの主張)

本件被告ら行為は、被告ら製剤を患者に投与するといったような市場競争に参画するものではなく、原告製剤と競合するものではない。

しかも、本件被告ら行為は、後にまさに「業として」製造販売行為の承認を受けるために必要な、行政法規で定められた義務なのであって、それ自体利益を目的としたものではない。即ち、本件被告ら行為は、将来の「業としての実施」に備えて必要とされる行政目的上の行為であって、いわゆる「発明の実施である事業の準備をしている」(平成六年改正法附則第五条二項参照)段階にすぎず、「業としての実施」にあたらない。

このことは、「業としての実施」と同義と解される法六七条二項の「実施」に製造承認申請に向けての準備行為が含まれていないことからも明らかである。

二  争点二について

(被告らの主張)

1 法六九条は、「試験又は研究」の目的まで限定しているわけではないのであるから、その目的が奈辺に存するかを問わず、一律にこれを権利の及ばない範囲とじて定めているものというべきである。

本件被告ら行為は、たとえそれが製造承認申請に向けてのものであったとしても、自ら製造し将来市場に出そうとしている製品の内容、性状、機能などを調べるものであるから、まさに典型的な試験行為である。

また、後発会社が先発医薬品とその薬効成分を同一にする製剤を製造するにあたっては、単に承認申請目的のみをもって製造するだけではなく、製剤化するにあたって、服用し易いように剤型を工夫したり、安定化を図ったりするなど種々の研究や試験を行うのであり、その過程で、製剤化に関する新たな技術が開発されることも少なくないのである。

2 仮に、期間満了前の準備行為を違法視するならば、現行薬事行政では、期間満了と同時に準備行為に着手したとしても、製造承認まで事実上二年半程度を必要とするのであるから、実質権利がそれだけ延長されたのと同一の効果を作出する。特許権者たる新薬開発者は昭和六三年の特許法改正(法六七条二項)により特許取得から実施までの時間差を補填されているのであるから、さらに二年半の事実上の延長となれば、二重の保護を与えられることになり到底認められるものではない。

3 厚生省は既に従前より、特許権の存続期間満了後の実施に向けての製造承認申請を特許権の存続期間中に受理していたが、平成七年六月二八同付けの各都道府県薬務主幹課宛の連絡により、先発医薬品の特許権の存続期間満了日前における後発医薬品の承認申請の取扱について、「特許期間の終了を見込み、承認審査の標準的事務処理期間を考慮して後発医薬品の承認申請を行うことは差し支えないものとすること」との通知を発している。この点よりしても、申請準備行為が法的に問題になることは全くないものである。

(原告の主張)

1 特許法六九条は、発明を公開し、改良発明を促すという特許法の目的から認められたものであるところ、専ら販売を目的として、その前提として薬事法による製造承認を受けるため必要なデータを集めるためになされた本件被告ら行為は、およそ技術の進歩を目的としたものではなく、特許法六九条の「試験又は研究」にあたらないことはいうまでもない。

2 被告らは、後発医薬品の製造承認申請のための実施は、その過程で剤形の工夫や安定化の工夫がなされることがあることを強調するが、本件特許にかかる物質に何ら改良を加えるものではなく、本件特許発明を進歩させるものではないから、製造承認申請を得るための実施を合法化するものではない。

3 また、被告らは、後発医薬品の製造承認申請行為の適法性を主張し、その根拠の一つとして厚生省が特許権の存続期間満了前に後発医薬品の製造承認申請を受理していることを挙げているが、厚生省のこの取扱いは、薬事法で定められた適式の申請であれば、特許権の存続期間中での申請も受け付けるとしたものにすぎず、その製造承認申請のための準備行為が特許権を侵害するか否かということは問題にしていないのであるから、厚生省の取扱と特許権侵害の有無とは無関係である。

三  争点三について

(被告らの主張)

仮に、被告らの準備行為が、「業としての実施」に該当し、「試験又は研究のための実施」に該当しないとしても、原告は、被告らの行為により何ら損害を被らないのであるから、実質的に違法性を欠くものである。

特許権者が独占の利益を享受するのは、権利存続期間中における市場競争の場においてであり、権利期間中であっても被告らの製品が製造承認に向けた準備行為の対象にとどまり、何ら市場で原告製品と競合することがなければ原告に何らの損害が生じないことは明白である。

(原告の主張)

特許法上、特許権者である原告は業として本件特許発明の実施をする権利を「専有」するのであるから、そもそも被告らは、特許権の存続期間中には、本件特許発明の実施をなし得ないのである。したがって、被告らが、原告の許諾なく、本件特許発明の対象である物質を製造し、製造承認に必要な試験を行うことは、まさに原告の特許権を侵害するものであり、既にそれだけで違法なことであって質的な違法性云々する余地などあり得ないのである。

四  争点四について

(原告の主張)

1 本件は薬事法の定めにより、発売までに相当の準備期間を要する医薬品がその対象であるところ、本件被告ら行為は、特許権の存続期間中に侵害行為を行い、その侵害行為の成果に基づき製造承認を取得し、特許権の存続期間満了直後から販売して利益を得ようとするものである。そして、このような被告らの行為により、被告らの侵害行為がなければ得られたであろう特許権の存続期間満了後約二年半の原告の独占的利益が侵害されることは明らかである。他方、同じ侵害行為があったにもかかわらず、偶々特許権の存続期間満了前に発見できた場合と、特許権の存続期間満了後にしか発見できなかった場合とで、差止請求権の行使の可否について差を設けることは、違法行為のやり得という状態を生み、何らの合理性もない。したがって、かかる特許権の存続期間中の違法な行為により、特許権の存続期間満了後にその成果を得ようとする者がいる場合には、発明の保護及び利用を通じて産業の発達を図ろうとした特許法の趣旨、条理あるいは信義則からしても、本来特許権の存続期間中の侵害行為がなかったとすれば、現在あるであろう姿に戻すという限度において、特許権者は特許権の存続期間満了後、それらの者に対して、特許権の余後効力として差止請求権を行使することができると解すべきである。

被告らは、特許権の存続期間満了後であるから差止請求権は認められないと主張するが、自ら秘密裡に準備行為を行ってきた被告らが、偶々期間中に発見されなかったことを奇貨として、かかる主張を行うこと自体、クリーンハンドの原則や信義則に照らして到底認められないものである。

2 仮に、被告らの被告ら製剤販売行為につき特許権に基づく差止請求権が認められないとしても、原告は被告らの特許権侵害という不法行為によって、著しく利益を損なわれるのであるから、これらの差止めが認められるべきである。このような不法行為の効果としての差止請求は、民法の立法の沿革上からも、また比較法的にも十分肯定されうるものと考えられ、民法上、金銭賠償が本則とされているのは、金銭賠償がより合理的であるからにすぎず、差止めにより当該損害の発生そのものを未然に防止することができるのであれば、敢えて差止めによる救済を拒否すべき理由はない。

(被告らの主張)

原告のいずれの主張も争う。

五  争点五について

(原告の主張)

1 原告は、被告らに対し、少なくとも本件特許発明の実施に対し通常受けるべき金銭の額に相当する額(実施料相当額)を、損害賠償として請求することができる(法一〇二条二項)。

そして、実施料相当額については、通常、製造販売額に実施料率を乗じて算出されるのであるが、本件において基準とすべき右製造販売額は、〈1〉本件被告ら行為のために製造された被告ら製剤の製造販売相当額〈2〉特許権侵害により前倒ししての製造販売が可能となった特許権の存続期間満了後二年半の被告ら製剤の製造販売額の合計額となる。なお、損害額の算定において、特許権の存続期間満了後二年半の期間をも含めているのは、本件において、特許権の存続期間中に実施の許諾を求められれば、特許権の存続期間満了後から薬事法に基づく事務処理に必要な期間が経過するまでの間は事実上不可能であるはずの製品の販売を可能とさせ、それに伴い右期間相当分の経済的利益を享受させることもあわせ考慮の上実施料を請求したであろうからである。

2 本件被告ら行為のために製造された被告ら製剤の製造販売相当額

被告らは、本件被告ら行為のために被告ら製剤をそれぞれ一三六六錠ずつ製造したところ、右行為当時の薬価は、金一七三円であったから、その製造販売相当額は、それぞれ金二三万六三一八円となる。

3 特許権の存続期間満了後二年半の被告ら製剤の製造販売相当額

被告らの平成八年七月から平成九年二月までの八か月間の被告ら毎の薬価基準による販売額は、別紙損害額算定一覧表の薬価基準販売額欄記載の通りである。

ところで、厚生省では、平成九年四月の薬価基準の改定の際、医療機関への納入価格の加重平均に一・〇四八を乗じて得たものに、同品の旧薬価基準の一定割合(フオイパン錠の場合は一〇パーセント)を加えたものを新薬価基準とすることとしたが、被告ら製剤の平成九年四月以降の薬価基準はそれまでの一三四円七〇銭から八〇円九〇銭となったことからすると、被告らの医療機関への納入価格の加重平均は、一錠あたり六四円三四銭であったと解される。

(80.9-134.7×0.1)÷1.048=64.34

そして、医療品卸の平均的なマージン率は一一・四パーセントであるから、結局被告らの実勢価格の対薬価基準比率は、四二・四パーセントとなる。

(64.34-64.34×0.114)÷134.70=0.424

したがって、被告らの平成八年七月から平成九年二月までの八か月間の被告ら毎の実勢価格による販売額は、別紙損害額算定一覧表の実勢価格販売額1欄記載のとおりであり、それを基準算定した二年半分の実勢価格による販売額は、同別紙の実勢価格販売額欄2記載のとおりである。

4 医薬品業界においては、新薬の特許発明について非独占的な実施権を付与するとすれば、少なくとも製造販売額の一〇パーセントの実施料率を課すのが通例である。

したがって、前掲2及び3の合計額に一〇パーセントを乗じた額(別紙損害額算定一覧表の実施料相当額欄記載のとおり)が、結局、「本件特許発明の実施に対し通常受けるべき金銭の額に相当する額」ということになる。

(被告らの主張)

1 本件被告ら行為について

右行為に使用した製剤は市販を予定していない製造承認申請のための試験に使用されたものであって、市場において原告製品と競合関係に立つことは全くなかったのであるから、これによって生じる原告の損害は皆無といわなければならない。

また、販売されたことのない右試験用製剤に当時の薬価による販売額を基準とする原告の損害額の計算方式は採用できない。

2 特許権の存続期間満了後の被告らの行為について

原告は、被告らの特許権の存続期間満了後の行為について、特許法一〇二条二項を主張し、実施料相当額を算出しているが、特許権の存続期間満了後は、特許権は存在しないので、右主張は全く理由がない。また、原告は、平成一〇年七月二一日までの将来の損害を仮定して請求しているが、これもまた法的根拠がない。さらに、被告ら製剤の薬価基準収載は、平成八年七月であって、それ以前の市販はないから、平成八年一月ないし六月分の請求は失当である。

第六  争点に対する判断

一  争点一について

法六八条本文にいう「実施」とは、物の発明にあっては、その物を生産し、使用する行為が含まれるところ(法二条三項一号)、本件被告ら行為は、本件特許発明に含まれる被告ら製品を製造し、使用したものであるから、「実施」に当たることは明らかである。

被告らは、法六七条二項が、「特許権の存続期間は、その特許発明の実施について(薬事法の製造承認等)を受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることが二年以上できなかったときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。」と規定していることから、医薬品の製造承認申請のために必要な試験行為は、「特許発明の実施」に含まれないとされていることが明らかであり、法六八条本文の「実施」も同様に、右行為を含まないものと解すべきであると主張する。

しかし、前記のとおり、特許法は、二条三項に「実施」についての定義規定をおいているのであるから、法六七条二項の「その特許発明の実施」についても、右定義によるべきであり、次のとおり読めば、定義規定との間に齟齬はない。すなわち、同条項は、特許発明の実施(定義規定にいう実施)に該当する行為のうち、薬事法等による製造承認を受けなければできない行為が、薬事法の製造承認を受けることが必要であるために、二年以上できなかったときは、延長登録の出願をすることができる、との規定であり、同項の「その特許発明の実施」は、「実施に当たる行為のうち、薬事法による製造承認を受けなければできない行為」の意味と解すべきである。このように、法六七条二項の規定は、法六八条の「実施」を法二条三項一号と同義と解することの妨げにはならず、被告らの主張は採用できない。

また、法六八条本文にいう「業として」とは、広く「事業として」の意であり、当該特許発明の実施として行われた行為が直接的な利益を目的としたものであるか否かは問わないのであるから、被告らが医薬品の製造販売を目的とする株式会社である以上、本件被告ら行為が「業として」行われたことは明らかである。

二  争点二について

1  法六九条一項は、「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。」旨規定するが、その立法趣旨は、特許法の目的が、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することにあることからすると、試験又は研究のためにする特許発明の実施にまで特許権の効力を及ぼすことは、かえって技術の進歩を阻害し、産業の発達を損なう結果になるためである。右立法趣旨からすると、当該実施が「試験又は研究」に当たるためには、当該実施が産業の発達に資するものでなければならず、特許法にいう産業の発達とは、技術の進歩を通じて図られるものをいうから、「試験又は研究」にあたる実施とは、当該特許発明に関する技術の進歩を目的として行われたものでなければならないと解される。もっとも、同条は「業として実施」されることを前提にしており、現代において特許権を事業として実施するのは、営利企業がその大半であることからすると、当該実施の結果得た知識を販売に利用しようとする等の動機があるとしても、直ちに同条の適用が排除されるわけではなく、販売目的があったとしても、それと併存して技術の進歩を目的とした実施が行われたならば、当該実施は、「試験又は研究のためにする特許発明の実施」として、同条の適用を受けるものと解される。

2(一)  そこで本件について検討するに、本件特許権は、医薬品の有効成分の物質発明及びそれを医薬品として特定の用途に使用することを内容とする用途発明であるから、当該試験が「試験又は研究」にあたるためには、当該試験が当該有効成分又は当該用途に用いられる医薬品に関する技術の進歩を目的として行われていなければならないと解される。

(二)  ところで、被告らは、厚生省に対する医薬品の製造承認申請に添付することが要求されている資料作成のため、被告ら製剤を製造し、規格及び試験方法に関する試験、加速試験及び生物学的同等性に関する試験に使用したものである。

そして、証拠(甲三、乙三)と弁論の全趣旨によれば、規格及び試験方法に関する試験とは、製造承認後製造される医薬品の品質確保のため、含量、性状等に関する試験を行うものであり、加速試験とは、一定の流通期間中の品質を短期間で推定するため、ある温度の下で一定期間製品が品質を保っていることを試験するものであり、生物学的同等性試験とは、新医薬品として既に承認を与えられている医薬品と生物学的に同等であることを証明するため、健康人の身体に臨床投与経路により一回投与し、一定の時間経過後に、その血中濃度を測るものであることが認められる。

以上のように、被告らが行った各試験のうち規格及び試験方法に関する試験及び加速試験は、被告ら製剤の医薬品としての品質を確保するために行われる試験であり、生物学的同等性試験は、先発医薬品と差異がないことを比較的簡易な方法で証明する試験であることが認められる。

そして、弁論の全趣旨によれば、このように、いわゆる後発医薬品の製造承認申請のために要求されている試験が新有効成分含有医薬品と比較して簡易なもので足りるとされているのは、先発医薬品業者によって、特許の対象である医薬品の有効成分及びそれを含有する医薬品の人に対する有効性、安全性は、既に判明しているからと認められる。

(三)  このような各試験の性質からすると、各試験は、当該有効成分に関して未知の効能、当該有効成分を含有する医薬品に関して未知の投与経路、剤型等を明らかにする事は不要である。さらに、証拠(甲三、乙三)によれば、後発医薬品が、先発医薬品と投与経路や、剤型が異なる場合には、被告らが行った各試験と比較してより多くの試験が要求されていることが認められ、このことからすると、被告らが行った試験だけで製造承認を得ようとすれば、むしろ、先発医薬品と投与経路、剤型が一致していることが要求されていることが認められる。

(四)  したがって、被告らが行った製造承認申請のための各試験が、本件特許発明の有効成分又は本件特許発明の用途に用いられる医薬品技術の進歩を目的としていたとは認められない。

この点、被告らは、後発会社が先発品とその薬効成分を同一にする製剤を製造するにあたっては、単に製造承認申請目的のみをもって製造するだけではなく、製剤化するにあたって、服用し易いように剤型を工夫したり、安定化を図ったりするなど種々の研究や試験を行うのであり、その過程で、製剤化に関する新たな技術が開発されることも少なくないと主張している。

しかし、右主張は、極めて一般的なものにとどまり、本件被告ら行為について個別具体的な主張・立証をしていないのみならず、仮に被告らが、実際に、被告ら製剤について製造承認申請のための各試験を行う前に、本件特許発明の製剤化に関する新たな技術を開発するため試験を行っていたとしても、本件特許発明の有効成分又は特定の用途に用いられる医薬品技術の進歩を目的とした試験と評価される余地があるのは、右製剤化に関する新たな技術を開発するための試験のみであって、本件で問題となっている、その後に行われた製造承認申請のための各試験は、既に判示したように、原告製剤と剤型、投与経路等の点で全く同一でなければならないから、本件特許発明である有効成分又は特定の用途に用いられる医薬品技術の進歩を目的としていたと評価する余地は存しない。

(五)  以上より、被告らが行った製造承認申請のための各試験は、本件特許発明の有効成分又は特定の用途に用いられる医薬品技術の進歩を目的とするものとは認められないから、本件被告ら行為が「試験又は研究のためにする特許発明の実施」にあたると認めることはできない。

3(一)  なお、被告らは、本件被告ら行為を違法視するならば、現行薬事行政では、期間満了と同時に準備行為に着手したとしても、製造承認まで事実上二年半程度を必要とするのであるから、実質的に権利がそれだけ延長されたのと同一の効果を作出する、特許権者たる新薬開発者は昭和六三年の特許法改正によって新たに規定された法六七条二項により特許取得から事業としての実施までの時間差を補填されており、さらに二年半事実上の延長がされることになるのは、二重の保護を与えられることになり、そのような結果は到底認められるものではないと主張する。

しかしながら、被告らが本件特許権の存続期間満了後も二年半程の間、被告らの製造する医薬品を販売できないとしても、これは医薬品の有効性、安全性、品質の確保を図ることにより、国民の生命・身体の安全を保護するために、薬事法が後発医薬品についてもその製造について承認を受けることを要するとしているためであり、特許権の効力として製造販売が規制されるものではない。その結果、特許権の存続期間満了後も二年半程の間、競争者が現れず、結果として特許権者が保護されるような状態となるとしても、それは事実上のものにすぎないから、特許権の存続期間中に薬事法の製造承認申請を認めないことをもって、特許権存続期間満了後においては特許発明の自由な使用が産業の発展に資するとする特許法の趣旨に反するとまでいうことはできない。

そこで、被告らが本件特許権の存続期間満了後も二年半程の間医薬品を販売できないことが、不公平で不当であるかについて検討するに、新薬について薬事法の製造承認を受けるまでの間、その販売ができないことは、特許権者にとっても同様であり、弁論の全趣旨によると、新薬について製造承認を得るために要求される試験には長期間を要するため、その期間は後発者が試験に着手して製造承認を受けるまでの期間に比べてかなり長期にわたるのが通常であると認められる。被告は、特許権者は、前述の法六七条二項により特許権の延長登録を受けることにより、薬事法による規制によって生じる時間差を補填されていると主張するが、右存続期間の延長も、特許発明を二年以上実施できなかった場合に出願をして初めて認められるのであって、しかもその延長期間は最高五年であることからすると、被告らに比して時間差を補填されているとまでいえるものではない。

以上のとおり、後発者が特許権の存続期間満了後直ちに医薬品の販売を開始することができず、開始までに二年半程を要するとしても、格別に不利な立場に置かれているとはいえない。

前述のとおり、法六七条二項で、薬事法と特許法の調整が図られているが、両法の調整は右の点に限られており、薬事法の規制により特許権の存続期間満了後すぐに特許の対象であった医薬品の販売をできないことについて調整する規定はない。

アメリカにおいては、特許権の存続期間の延長を認めると同時に、特許権の存続期間中における試験行為を認める旨の立法(いわゆるボーラー条項)がされたが、日本法は延長登録制度を取り入れながら、同様な規定を設けなかった。その際、後発医薬品の製造承認のための試験行為のための特許発明品の製造について十分に検討されたことはなく、法六九条一項の「試験又は研究」に該当すると解されていた節は見受けられない(甲三一)。

被告らの主張するように特許権の存続期間中に医薬品の製造承認を得るための特許発明の実施(製造及び使用)を認めるためには、その要件、具体的手続き、特許権者との関係等検討事項も多く、その旨の立法を要するものといわざるをえない。

(二)  被告らは、厚生省が、特許権の存続期間満了を見込み、承認審査の標準的事務処理期間を考慮して後発品の承認申請を行うことは差し支えないものとするとの通知を発していること(乙一)も理由として挙げているが、このことによって、特許法の解釈が左右されないことは明らかである。

三  争点三について

前記争いのない事実によると、被告らに対する製造承認は本件特許の存続期間の満了後になされており、弁論の全趣旨によれば、厚生省では、特許権の存続期間中には、後発医薬品の製造承認をしない扱いであり、後発医薬品が特許権の存続期間中に市場で先発医薬品と競合することはないものと認められる。しかしながら、特許権の侵害は必ずしも市場で競合しなくても成立するものであるから、本件被告ら行為が違法でないと評価されることになるものでもない。

四  争点四について

特許権には、業として特許発明の実施をする権利を専有する(法六八条本文)という排他的独占権が付与されているが、その一方で、その存続期間は、原則として特許出願の日から二〇年をもって終了することとされている(法六七条一項)。これは、産業の発展という観点から、発明を保護するとともに、過度な保護は逆に産業の発展を阻害するから、その保護を一定期間に限ったものである。よって、特許権の効力が及ぶ期間を明文の規定もなく延長することは、特許法の予定していないことと解される。したがって、特許権の期間が満了した後は、保護されていた発明は保護されなくなり、誰でも自由にその発明を利用することができることとなるのであって、特許権の余後効力なる概念を観念する余地はない。

原告は、本件被告ら行為によって、得られたであろう特許権の存続期間満了後約二年半の原告の独占的利益が侵害されるとして、右期間の被告ら製剤の販売差止めを求めている。しかし、仮に原告の主張するような独占的利益が得られるとしても、その原因となる薬事行政上の措置は、決して特許権の効力の及ぶ期間を特許法が定める以上に認めるためのものではなく、医薬品の有効性、安全性、品質の確保を図ることにより、国民の生命・身体の安全を保護するためのものであり、原告の主張する独占的利益を保護する趣旨でもない。独占的利益なるものは、被告ら後発者が薬事法の規制により参入できないという市場の状態を表しているにすぎず、競業者が参入したとしても本来の自由市場の状態が実現したのであって、利益が侵害されたと観念すべきものではない。後発者の市場への参入が特許権に違反する試験行為の結果であるとしても、これによって不利益を被るのは、そのような行為をしなかった後発者であり、原告が損害を被ったということはできない。

いずれにしても特許権の存続期間が満了した後には、特許権者の有する法的利益と解すべきものはない。したがって、特許権者が特許権の存続期間満了後も独占的地位を保持しうることを理由として、特許権の存続期間満了後も、妨害排除請求権を有しているとは解されないし、クリーンハンドの原則や信義則が問題となる余地もない。

前述のとおり、特許権の存続期間満了後においては、誰でも自由にその発明を利用することができるから、被告らが被告ら製剤を販売することは何ら不法行為を構成しない。このことは、特許権の存続期間中に被告らが侵害行為を行っていたとしても同様である。よって、不法行為に基づく差止請求権が認められるか否かを論ずるまでもなく、不法行為を理由として差止めを求める請求は理由がない。

五  争点五について

以上によれば、被告らは特許権者から実施権を与えられずに特許権の存続期間中に特許発明の実施をしたものであるから、原告に対し実施料相当額の損害を与えたところ、その算定については、特許権存続期間中に製造された被告ら製剤の製造販売相当額に実施料率を乗じて算出すべきである。

原告は、右製造販売相当額のみならず、特許権存続期間満了後二年半の被告ら製剤の製造販売の額も算定の基礎とすべきであると主張するが、存続期間満了後においては、原告は本来的には実施料を受けることができない立場にあることに鑑みれば、右期間中の被告ら製剤の製造販売額そのものをその算定の基礎にするのは相当でない。もっとも、被告らは、本件製造使用を行ったために、行わなかった場合に比べて早く医薬品を製造し、販売することが可能となったものであり、実施料の率においてこの点を考慮するのが相当であるところ、証拠(甲三〇)によると、医薬品については契約による実施料率が一〇パーセントを超える高額な実施料の支払事例が存することを総合考慮すると、実施料は製造販売相当額の一〇パーセントとするのが相当である。

そして争いのない事実によれば、被告らは、それぞれ、本件被告ら行為のために被告ら製剤を一三六六錠製造し、右行為当時の薬価は、金一七三円であったのであるから、その製造販売相当額は、金二三万六三一八円となる。なお、右金額は、あくまでも相当額であるから、薬価を用いることについては何ら問題はない。

したがって、被告らの本件被告ら行為によって生じた実施料相当額は、右製造販売相当額の一〇パーセントである金二万三六三一円となる。

六  総括

以上より、原告の被告らに対する請求は、各自に金二万三六三一円の支払いを求める限度において理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野田武明 裁判官 森義之 裁判官 安永武央)

別紙

特許請求の範囲

1 一般式

〈省略〉

(式中Zは炭素-炭素共有結合メチレン基エチレン基及びビニレン基よりなる群から選択された基を表わしR1とR2は同一でも異なつてもよいが各々水素原子又は低級アルキル基を表わす)で示される化合物又はその薬理学的に許容できる酸付加塩。

2 カルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の加合物。

3 N-メチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の化合物。

4 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の化合物。

5 N、N-ジ-n-プロビルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の化合物。

6 N-N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルアセタート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の化合物。

7 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)シンナマート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の化合物。

8 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(pグアニジノベンゾイルオキシ)フエニルブロピオナート又は薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の化合物。

9 N-メチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルアセタート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩である特許請求の範囲第1項記載の化合物。

〈省略〉

(式中、Zは炭素-炭素共有結合、メチレン基、エチレン基及びビニレン基よりなる群から選択された置換基を表わし、R1とR2は同一でも異なつてもよいが各々水素原子又は低級アルキル基を表わす)

で示される化合物又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有す抗プラスミン剤。

11 カルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

12 N-メチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

13 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

14 N、N-ジ-n-プロビルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

15 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルアセタート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

16 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)シンナマート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

17 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルブロビオナート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

18 N-メチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルアセタート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第10項記載の抗プラスミン剤。

〈省略〉

(式中、Zは炭素-炭素共有結合、メチレン基、エチレン基及びピニレン基よりなる群から選択された置換基を表わし、R1とR2は同一でも異なつてもよいが各々水素原子又は低級アルキル基を表わす)

で示される化合物又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する膵臓疾患治療剤。

20 カルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

21 N-メチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

22 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

23 N、N-ジ-n-プロピルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾアート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

24 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルアセタート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

25 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)シンチマート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

26 N、N-ジメチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルプロピオナート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

27 N-メチルカルバモイルメチルp-(p-グアニジノベンゾイルオキシ)フエニルアセタート又はその薬理学的に許容できる酸付加塩を含有する特許請求の範囲第19項記載の膵臓疾患治療剤。

別紙

物質目録

左式で示されるN、N-ジメチルカルバモイルメチル4-(4-グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセタート モノメタンスルホネートの化合物。

〈省略〉

別紙

イ号物件目録

左式で示されるN、N-ジメチルカルバモイルメチル4-(4-グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセタート モノメタンスルホネートの化合物(一般名「メシル酸カモスタット」)を含む医薬品(商品名「カモスパン錠一〇〇」)。

〈省略〉

別紙

ロ号物件目録

左式で示されるN、N-ジメチルカルバモイルメチル4-(4-グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセタート モノメタンスルホネートの化合物(一般名「メシル酸カモスタット」)を含む医薬品(商品名「カモストン錠一〇〇」)。

〈省略〉

別紙

ハ号物件目録

左式で示されるN、N-ジメチルカルバモイルメチル4-(4-グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセタート モノメタンスルホネートの化合物(一般名「メシル酸カモスタット」)を含む医薬品(商品名「カモエント錠一〇〇」)

〈省略〉

損害額算定一覧表

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例